オーバーホールの時期がきたポンプの整備について記録をまとめていきたいと思います
川本製作所製のポンプを例に紹介しています。
渦巻きポンプの取り外し
- ブレーカーを開放する(落とす)
- ポンプの吐出側と吸入側のバルブを閉じる
- モーターの電線を取り外す
- カップリングの保護カバーを取り外す
- モーターを固定しているボルトを外してモーターを架台から下ろす
- ポンプのサポートブラケットを架台側から外す
- ポンプ外周のボルトを外す
- ボルトを1〜2本残した状態で、ポンプを外す
- 水の勢いを見ながら、勢いがなくなったらボルトを外して、ポンプを下ろす

どちらも、重いので気を付けて下さいね
分解前に部品のチェックとマーキングをしましょう
入荷時点で納品チェックはされていると思いますが、作業に慣れないうちはパーツリストを手元に準備しておくことをおすすめします。
また、分解に入る前にもう一度、部品の確認をしておきましょう。
特に、メカニカルシールやベアリングのサイズが合っているかは要チェックです。
これらの部品は分解後に再利用できないため、あらかじめ確認しておくことが重要です。

すでに、バラした写真ですが、部品を一度並べておくと部品の頼み忘れや間違いに早く気付けます

外す前にマジックで印を入れておくと組付けのとき楽です
ポンプを分解していく
組み付けられたボルトを外して、インペラ側から分解していく。

分解しながら錆のチェックやシャフトの状態も確認していきます。
違和感があれば、シャフトの曲がりの測定も行います。

今回は、シャフトに目印があるので良いのですが、ない場合もあるのでメカシールの押さえを外す前に固定位置を直定規やノギスを使って測っておくと後々、楽が出来ます。

【小技】ソケットレンチを上手く使って、組み込まれたメカシールを押し出す。
ほとんどの場合、プラスチックハンマーやゴムハンマーで軽く叩くだけで外れます。
ポンプを組み立てる
外した順番の逆の手順で、組み立てて行きますが、組み立ての際、絶対に浸透油を使ってはいけません。これはゴムやパッキンの劣化進めてしまうので漏れの原因になりますし、スプレー系の製品もオススメしません。なぜなら、飛沫がメカシールの当たり面に付着してしまい、寿命を縮めてしまうおそれがあるからです。
わかりにくいですが、シャフトにバネの押さえの固定位置の印があります。
写真の様に端面をあわせておけばOKです。

特に中型〜小型ポンプのメカニカルシール周りは、軽く押し込んだり、優しく叩く程度でスムーズに組み立てできるように設計されています。
もし力を入れないと組付けられない場合は、シャフトが歪んでいたり、傷や引っかかりがある可能性があります。
そのようなときは、無理に作業を続けず、一度分解して原因を確認しましょう。
それでも、きつい場合は、薄くシリコン系のグリスを塗っておくとスムーズに組み立てることが出来ます。
※シャフトに目印の溝が切って無い場合もありますので、あらかじめ固定金具の位置を測っておくと組立てるとき早く組み立てれます。
ここまでくればあと少し
無事にポンプを組み立てられたら、一安心です。あとは、ケーシングと嵌合させて行くことになります。
絶対に、先にサポートブラケットから固定してはいけません。
もちろん、仮締めはOKですよ。
もしブラケットを先に固定してしまうと、ポンプ本体が引っ張られた状態になり、芯出しの際に正確な芯が出せなくなる可能性が高くなります。
締め込む順番が正しいかどうかを常に意識し、ブラケットやポンプ本体に余計なストレスがかかっていないか確認しながら作業を進めましょう。

組み立てたポンプを架台に乗せる
今回のポンプは比較的キレイな状態ですので、ステンレスタワシでOリングの当たり面の汚れや、古いOリングのカスを落とせば十分です。
ついでに、ライナーリングに錆や汚れがある場合も、タワシで軽くこすってきれいにしておきましょう。
清掃を行うことで、ライナーリングやケーシングに傷がないか確認することができます。
ポンプをケーシングに嵌合(かんごう)させる前に、ケーシング側の清掃も忘れずに行っておきましょう。
ラインポンプのときと同様、ケーシングと嵌合させる際は、ボルトを対角線に締めていきます。
一度に締め込まず、対角の2本を交互に少しずつ締めていきましょう。
その際、シャフトを時々手で回し、常に軽く回転することを確認しながら締め込むのがポイントです。
こちらの記事も参考にしてみて下さい。
「古くなったラインポンプを交換!ついでにポンプをバラしてみた」

組付けの手順は取り外しの逆の手順になります。
芯出しについては次回の記事で紹介します。
まとめ
今回はポンプ整備の大まかな流れをご紹介しました。
細かい作業手順は、扱うポンプの形式や、事業所ごとの運用ルール、取り扱う液体の種類などによって異なります。
それぞれの現場で培われたノウハウを活かしながら、この記事を参考にしていただければ幸いです。
今回とくにお伝えしたかったのは、組付け時に浸透油を使ってはいけないという点です。
浸透油には、ゴムを劣化させる成分が含まれている場合があります。
成分を理解したうえで使用するのであれば問題ありませんが、確認せずに使うとポンプの寿命を縮めてしまったり、漏れの原因を作ってしまうかもしれません。
また、スプレータイプのグリース類も、飛沫が飛びやすく、他の部品に付着してしまうためおすすめできません。
どうしてもそれらを使わざるを得ない場合は、ウエスやボロ布などで受けながら、飛び散らないように注意して作業しましょう。
今日も一日、ご安全に