エアロフレックスの施工方法を徹底解説【初心者でもできる保温工事の基本】
DIYでもおなじみ、グラスウールの保温筒で配管を保温作業されたことはあるかと思います。では、DIYでも、仕事でもいいのでエアロフレックスを使ったことはありますか?
この記事では、背割れタイプのエアロフレックスの施工手順を接着剤の塗り方〜仕上げまで、写真つきでわかりやすく解説します。初めてエアロフレックスを触る方でも、手順通りに進めれば問題なく施工できますが、正しく施工できなければ、その性能を引き出すことはできません。
エアロフレックスとは?(おさらい)
エアロフレックス(Aeroflex)は、空調・給排水設備の配管に使われる独立気泡断熱材という種類の保温材です。
柔軟性が高く、曲がり管や複雑な形状の配管にも密着しやすいのが特徴で、夏場の冷水管や空調配管の結露防止に特に効果を発揮します。もちろん、ドレン配管やエアー配管にもOKです。
エアロフレックスとグラスウールの違いをまとめた記事がありますのでそちらもご参照下さい。
エアロフレックスとグラスウールの違いとは?現場での使い分けを初心者向けに解説
施工前に準備するもの
施工に入る前に、以下の道具と材料を揃えておきましょう。
※ 接着剤は揮発性が高いため、必ず換気設備の用意も忘れずにしてください。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 保温材 | エアロフレックス(配管径に合ったサイズ) |
| 接着剤 | エアロフレックス専用接着剤 |
| カッターナイフ | 薄刃が安定して切りやすい |
| マルチウェーブ (エアロフレックス専用ナイフ) | 断面が少し荒れるが、切れ味が安定している。 |
| ハケ | 接着剤の塗布用(500mL 缶には付属) |
| メジャー・マーカー | 採寸・カット位置のマーキング用 |
| 手袋・マスク | 接着剤の付着防止・有機溶剤からの保護 |
マルチウェーブ35(これ以外に刃渡り25cmのマルチウェーブ25があります)

エアロフレックスの施工手順
STEP 1:配管サイズを確認する
まず、保温する配管の**外径(外周の直径)**を測ります。エアロフレックスは内径サイズで規格が決まっているため、配管外径に合った製品を選ぶことが大前提です。
サイズが合っていないと、接着後に隙間ができて結露の原因になります。現場では必ずメジャーで実測してから材料を用意しましょう。
適正サイズは、ジャストサイズではなく少し小さいサイズが理想的です。
STEP 2:エアロフレックスをカットする
採寸が終わったら、施工する長さに合わせてカットします。
直管部分のカット
カッターナイフで真っ直ぐ切るだけです。エアロフレックスは柔らかいため、力を入れすぎず、刃を寝かせ気味にして一定のスピードで切るときれいに仕上がります。
エルボの作り方(曲がり部分)
グラスウールの保温筒と違って、エアロフレックスは厚みがあるので保温筒の様に45度でカットしてエルボーを処理することに不向きです。
写真のように2箇所Vカットを入れて接着剤を塗布して形を整えます。
このとき、必要なのは背割れなしエアロフレックスを用いて製作します。
割れているエアロフレックスでは形を整えるのが難しいためです。
割れを作るのは後からでも容易に可能ですので、割れなしで作ることをおすすめします。
ポイント 短く切ってしまった場合、縦方向に伸ばすのは難しいのでカットは「少し長め」に切って現物合わせするのがコツです。具体的に言うと200mm程度なら+5〜10mmしてカットします。それ以上の場合10mm〜20mmすると失敗が少ないです。
長手方向で伸ばす状態で施工するのは難しいですが、縮める方向で施工するのは簡単に施工できます。ここは感覚的なところなので、やってみて下さい。
ちなみに、エアロフレックスの筒が入っている箱にはこの様に、角度が記されており、この角度を参考に曲げを自由に作ることが出来ます。また、筒を切ってしまうのではなく浅く切ってエルボーを作ることで、外向きのRがいい感じ仕上がります。


STEP 3:接着剤を塗る
ここが施工の最重要工程です。接着剤の塗り方と乾燥時間を守ることが、仕上がりの良し悪しを決めます。
接着剤の塗り方
接着剤は、エアロフレックスの切断面(合わせ面)の両側に塗ります。片側だけでは接着力が不十分で、時間が経つとはがれてしまいます。
塗り方の手順は以下の通りです。
- ハケに接着剤を少量取る
- 切断面の全体に均一に薄く塗り広げる(塗りムラに注意)
- もう一方の切断面にも同様に塗る
- オープンタイム(乾燥時間)を待つ

オープンタイム(乾燥待ち時間)の目安
| 気温の目安 | オープンタイムの目安 |
|---|---|
| 20〜25℃(標準) | 約3〜5分 |
| 30℃以上(夏場) | 約1〜3分(乾きが早い) |
| 10℃以下(冬場) | 約5〜10分(乾きが遅い) |
オープンタイムとは、接着剤を塗ってから貼り合わせるまでの「待ち時間」のことです。
塗ってすぐ貼るのはNGです。接着剤が乾く前に合わせると、溶剤が揮発しきらず接着力が弱くなります。逆に乾かしすぎても粘着力が落ちます。
指で軽く触れてみて「べたつきはあるが、指に付かない」くらいの状態が貼り合わせの目安です。
夏場の注意点 気温が高いと接着剤の乾きが非常に早くなります。慣れない間は、塗ったらすぐタイマーをセットして、乾かしすぎを防ぎましょう。同じ気温で同じロットの接着剤でも目安通りの時間で硬化するものでもありません。そこまで神経質にならなくても大丈夫です。乾き過ぎた場合でも、もう一度塗り直せばいいだけなので落ち着いて、段取り良く作業すれば大丈夫です。
STEP 4:配管に取り付ける
スリット面の塗布が終わったら、エアロフレックスを配管に取り付けていきます。
スリット(縦の切り込み)から配管を差し込んだら、スリット部分に塗布した接着剤を閉じていきます。
下記の写真は、Φ38のパイプに被せたときの写真です。

パイプの外形とエアロフレックスの内径が同径は推奨されません。
やむを得ない場合を除き、その組合せは避けましょう。
STEP 5:貼り合わせ・圧着する・追加の接着剤
オープンタイムが終わったら、いよいよ貼り合わせです。
- エアロフレックスを引っ張りながら配管に密着させて切断面同士をゆっくり合わせる
- 合わせたところからすぐに手でしっかり押さえて圧着する
- 合わせた後、更に追加で接着剤を塗布して、再度乾かす
- 乾いたら、継ぎ目を手で圧着してスリット面を仕上げる
- 継ぎ目にプロテープを貼って仕上げる

一度合わせたらずらさないことが大切です。接着剤が触れた瞬間から接着が始まるため、位置がズレると修正が難しくなります。


STEP 6:仕上げ確認
施工後は以下の点をチェックします。
- 継ぎ目・スリット部に隙間がないか
- エルボ部分の突き合わせがきれいに密着しているか
- 全体的に浮きやシワがないか
隙間があった場合は、その部分に再度接着剤を塗って圧着します。小さな隙間でも、そこから結露が発生する原因になります。

接着後に内側を確認するのは不可能ですが、接着手順をいい加減にすると上の写真の様に表面だけがくっついて、下側(パイプ側)がくっついていない状態になってしまいます。
よくある失敗とその対策
失敗①:継ぎ目が浮いてくる
原因:オープンタイムが短すぎた、または圧着が不十分。
または、パイプに対してエアロフレックスの内径が小さすぎる。
対策:気温に応じたオープンタイムを守り、圧着時間を長めに取る。
適切な材料を選定する。
失敗②:接着剤が固まらない
原因
- 気温が低く、乾燥が遅れている
- 接着剤が新しくて、粘度が低い(サラサラ)
対策
- 冬場は待ち時間を長めに設定する。ヒートガンで軽く温めると促進できる
- 接着剤を開封済のものを使用してみる(ドロドロ)
※固まり始めているので、塗布したときに伸びが悪いものは使用しない
失敗③:エルボ部分に隙間ができる
原因: カットの角度が合っていない
対策: カットの精度を高める。型を使うと安定する
※筒の箱に角度切りするための、補助線が記載されているので参考にする
まとめ
エアロフレックスの施工で最も大切なのは、接着剤の塗り方とオープンタイムの管理です。
手順をまとめると以下の通りです。
- 配管サイズを実測する
- 配管サイズに対して、エアロフレックスの内径が、同径もしくは
−3mm※1,2のものを選定する - 必要な長さ・形状にカットする
- 接着面の両側に接着剤を均一に塗る
- 気温に合わせたオープンタイムを待つ
- 配管に取り付けて、接着面(スリット)の下側から丁寧に接着する
- 接着したスリット面に追加で接着剤を塗布する。
- 追加塗布した面を再圧着してスリット面にプロテープを貼り付けて完了
※1 筒の内径が、小径の場合は無難に同径を選定する
※2 基本的に3mm刻みでサイズが違うが、4mm違うと施工が難しくなる
施工精度が結露防止の性能に直結します。最初は時間がかかっても、手順を丁寧に守ることが大切です。これらの作業を繰り返すうちにスピードも施工仕上がりも自然と上がっていきます。
道具と知識をしっかり揃え、現場で実践を重ねることが「差」を生む第一歩です。
今日も一日、ご安全に。
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