しごとの図書室

渦巻きポンプの耐用年数とは?故障を未然に防ぐ点検と交換のタイミング

はじめに

点検作業中に、「ポンプから水漏れしてる」「異音がする」「いつもと音が違うなぁ」など、異常に気づいたことはありませんか?もしかすると、故障の予兆かもしれません。復習の部分もありますが、1つずつチェックしてみましょう。
もちろん、新品のポンプに交換するのが最も安心ですが、それが軽微な故障だった場合、コストも作業時間も大きくかかってしまいます。
そこで、「修理で済むのか?」「交換すべきか?」という判断が必要になります。

本記事では、そんな悩みを解消するために、

  • 渦巻きポンプの基本構造(復習)
  • 点検時に確認すべき項目(復習)
  • よくある故障の兆候 (新規)
  • 整備・交換の判断基準 (新規)
  • 各メーカーの交換推奨 (新規)

などを、現場視点で分かりやすく解説していきます!

渦巻きポンプってどんなもの?(復習)

渦巻きポンプは、工場、ビル、商業施設、プールなど、あらゆる現場で使用されているポンプです。構造はシンプル。モーターで羽根車(インペラ)を回転させ、遠心力によって流体を送る仕組みです。内部には、軸を守るためのメカニカルシールやグランドパッキン、ケーシング、ベアリングなどの部品が組み込まれており、それぞれが摩耗や劣化により定期的な点検・整備が必要になります。

点検時の確認ポイント

例えば「水漏れ」が確認された場合、以下のような確認が必要です。

ポンプからの漏水により他の機器に影響ないかい?
 →水や薬品により、漏電や有害なガスが発生するおそれがあるから。

ポンプが2台あり、交互運転なら切り替える
 →漏れていないポンプに切り替えて、吸入口と吐出口のバルブを閉じる

ポンプの型式・製造年または製造番号を確認する
 →部品を手配する際、必要になります。

漏れ箇所の確認
 →漏れの原因が軸封部品に集中することが多いです。

ケーシングや軸受部の劣化状態
 →腐食・摩耗がないか確認しましょう。

モーターの状態確認(振動・異音・電流値の上昇)
 →異音や振動の発生箇所がモーターの場合もあります。

周辺機器の点検(圧力計・配管・フランジなど)
 →同時に異常がないか見ておくと◎

 メカニカルシール式でもグランドパッキン式でも、基本の点検ポイントは共通です。

渦巻きポンプの「故障のサイン」

ポンプは“声”を出しませんが、異常時にはしっかりサインを出しています。代表的な兆候はこちら:

  • 異音:ガラガラ音・金属音など(ベアリング異常やキャビテーションの兆候)
  • 振動:モーターやポンプのバランス崩れ、軸ズレ
  • 漏れ:シール部・接続部からの液漏れ
  • 性能低下:吐出圧力や流量が落ちている
  • 発熱:異常摩擦・潤滑不良・空まわし運転など
  • 起動不能:電源系トラブルや回転部の固着(インペラのロック)
  • 電力消費増加:摩耗による運転負荷増加
  • 呼び水不足:吸込み口に空気混入の可能性

複数のサインが同時に出ることもあります。定期点検での気づきがトラブルの芽を摘み取ります!今回は深く触れませんが、キャビテーションが発生している場合、ポンプ以外にも配管からの空気の混入も考えられます。いろんな異音があるので、聞き分ける力も必要です。

修理か交換か?判断のポイント

以下のような状態なら、修理よりも交換を検討した方がよいでしょう。

  • ベアリング嵌合が甘くなってベアリング自体が滑っている
  • ケーシングが腐食し、肉厚が著しく低下している
  • 設置から20〜30年以上経過している
  • 架台のサビやアンカーボルトの破損が見られる

修理可能な軽微な症状(例:メカニカルシールの劣化)でも、経年劣化が進んでいれば全体更新を検討すべきこともあります。

各メーカーの推奨交換タイミング

取扱説明書は重要な情報源です。いくつかのメーカー例を紹介します:

  • E製作所
     →「分解時は摩耗部品を必ず交換」と記載。明確な交換基準あり。
  • T社
     →「点検報告書の様式」や「交換サイクル表」が整備されており、現場管理にも活用しやすい。
  • K製作所
     → Oリング・メカシール・ベアリングの稼働時間による交換目安あり。営業所への相談も可能。

 汎用渦巻きポンプ全体の交換目安:10〜15年
 オーバーホール目安:4〜7年ごと

参考:
部品ごと(メカシール・ベアリングなど)はこれより短いスパンでの交換が推奨されます。

まとめ

渦巻きポンプの整備タイミングは「年数」だけでは測れません。以下のような複数の要因が複雑に絡み合います。

  • 使用流体の性質(腐食性・粘度)
  • 使用頻度・連続運転の有無
  • 設置環境(屋内外・温湿度)
  • メンテナンスの頻度と質
  • 据付の精度(ミスアライメントなど)

予防保全・予知保全の実践が、長寿命化のカギになります。

  • 記録(振動・電流・温度)をこまめに取る
  • 点検報告書をフォーマット化して残す
  • 異常の初期サインを見逃さず早めに対処する

おわりに

渦巻きポンプの整備・交換は「壊れてから」では遅いことが多いです。
だからこそ、早めの点検と情報収集がコスト削減とトラブル回避につながります。

現場の安全と安定稼働のために。
「修理」と「交換」の判断は、記録と経験がものを言います!

今日も一日、ご安全に!